アルマ望遠鏡“勝手に”応援団

■ repo 01 アタカマは地球の反対側



アルマ望遠鏡が建設されたのは南米チリの北部、アタカマという場所。日本からそこまで行くには、とんでもなく時間がかかる。まず成田からチリの首都サンチャゴへ、国内線に乗り換えて北部の街、カラマへ。ここまででおよそ33時間。カラマからアタカマへはクルマで約3時間。途中、ほぼ直線道路が60km近く続く。周りは木が1本もない砂漠地帯。単調な道だけに事故も多いらしく、時々道路脇に十字架が立っているのを見かける(写真クリックで拡大)


チリはまさに地球の反対側。夏なら時差もちょうど12時間。それだけに、首都サンチャゴまででも日本から30時間くらいかかる



サンチャゴ国際空港のターミナル。規模は小さいが、新しくてなかなかモダンな建物。ここで国内線に乗り継ぎ、チリ北部、銅山の街カラマに向かう



サンチャゴからカラマまでは約2時間のフライト。カラマは世界最大規模の銅鉱山があるため、小さな街ながら便数は多い



地球の裏側だけに、北米回りでもヨーロッパ経由でもそれほど時間は変わらない。編集Sはカナダ・トロント経由でチリ入り。写真はそのトロント便で出た軽食。パッケージは日本のそれとそっくりだが、味はちょっと違う

 既にニュースなどでも何度も取り上げられているので、ご存知の方も多いと思うが、南米チリ・アンデス山脈の標高5000メートルに建設された「アルマ望遠鏡」が今年3月、現地で開所式典を行い、本格的な運用が始まった。草木が一本もないまるで火星のような光景が広がるアタカマ砂漠。そこに全66台のパラボラアンテナからなる電波望遠鏡を設置し、宇宙誕生の謎や生命の起源を探ろうという、壮大なプロジェクトが幕を開けた。
 当サイトでは、このプロジェクトを15年近くにわたり追い続けてきたノンフィクション作家の山根一眞氏が執筆する書籍『スーパー望遠鏡「アルマ」の創造者たち』の発行に先立ち、「アルマ」の概要や書籍には書けなかった取材こぼれ話を紹介していきたい。最初のテーマは「アルマってなに? どこにあるの?」。日本からアルマ望遠鏡のあるアタカマまでの旅を、3回にわたってお届けする。


山根一眞「テレビ番組でも取り上げられたし、みなさん、アルマは既にご存知なんじゃない?」
編集担当S「いやいや、まだできたばかりですし、天文マニア以外にはそれほど知られてないと思いますよ」
山根「じゃあ、何から始めようか。とりあえず電波望遠鏡の仕組みかな?」
編S「いやー、そこは難しすぎるので専門家にお任せしましょう。まずは現地リポートから始めませんか? なにせ、2回も地球の裏側まで行ってきたんですから」
山根「たしかに」


 アルマ望遠鏡の「ALMA」は、Atacama Large Millimeter / submillimeter Arrayの略で、直訳すれば「アタカマにあるミリ波/サブミリ波望遠鏡」ということ。アタカマはチリ共和国の北部、ボリビアとの国境近くに位置し、年間降水量が100ミリ以下のまさしく砂漠地帯。
 アタカマに行くには、チリの首都サンチャゴで国内線に乗り継ぎカラマへ、そこからさらに車で3時間近く走らなければならない。ざっと見積もって、日本から36時間くらいかかる。日本からチリへの直行便はないが、北米のダラスやアトランタ、トロント経由をはじめ、仏・パリや豪・シドニー経由などもあり、意外に選択肢は多い。


山根「僕が行った時はダラス経由だったな。米国経由だと乗り継ぎでも荷物をいったん受け取らないといけないから面倒。しかも乗り継ぎに6時間。疲れるよね」
編S「私はトロント経由。待ち時間が8時間もあったので、軽く市内観光してきちゃいました」
山根「元気だねえ。ところで、一番下の写真は何?」
編S「飛行機の中で出たカップ麺。見た目、日本のと同じですけど、味はちょっと違うんですよ」
山根「ほほう。それで?」
編S「あ、いや、それだけ(汗)」

「アルマ望遠鏡」について詳しくお知りになりたい方は、以下のサイトもご覧ください。

>自然科学研究機構 国立天文台「アルマ望遠鏡」

>ALMA天文台(英文)

>現地報告!構想30年のスーパー望遠鏡「アルマ」がついに動き出す(日経ビジネスONLINE)





『スーパー望遠鏡
    「アルマ」の創造者たち』


著者名:山根一眞
体裁:四六判・並製、296頁
価格:1,620円(税込)
ISBN:978-4-86443-042-5
発行日:2017年7月31日
発行元:日経BPコンサルティング
発売元:日経BPマーケティング

【目次】
序章  嵐の神戸港
第1章 電気仕掛けの望遠鏡
第2章 野辺山のサムライたち
第3章 奪われた花嫁
第4章 魔法工場のデスマッチ
第5章 凧揚げとガンダム
第6章 冷たいラジオの作り方
第7章 天空のセレモニー
終章  奇跡の星、地球

■著者プロフィール
山根 一眞(やまね・かずま)

ノンフィクション作家。1947年東京生まれ、獨協大学外国語学部ドイツ語学科卒。宇宙航空研究開発機構(JAXA)客員、福井県文化顧問、理化学研究所相談役、日本生態系協会理事、3.11支援・大指復興アクション代表。日本の「ものつくり」を広く伝えた『メタルカラーの時代』シリーズ(小学館)は25冊を出版。『小惑星探査機はやぶさの大冒険』(マガジンハウス)は渡辺謙主演で映画化。『日経ビジネスONLINE』で2つの連載コラムをもつ。獨協大学特任教授。日本文藝家協会会員。
■主な著書
『理化学研究所』(講談社ブルーバックス) 2017年、『小惑星探査機「はやぶさ2」の大挑戦』(講談社ブルーバックス) 2014年、『メタルカラー烈伝 温暖化クライシス』(小学館) 2006年、『メタルカラー烈伝 鉄』(小学館) 2008年
山根事務所
 http://www.yamane-office.co.jp