アルマ望遠鏡“勝手に”応援団

■ repo 02 ここは地球? それとも月?



アタカマ砂漠の観光スポットのひとつ、「月の谷」の夕暮れ。白く見えるのは雪ではなく塩。アタカマは世界でもっとも乾燥した砂漠といわれるが、そうした厳しい気候と岩塩を多く含む地質ゆえ草木が育たず、こんな風景が出来上がった。うっすらではあるが、写真左手奥の山の中腹に、アルマ望遠鏡の山麓施設が見える(写真クリックで拡大)


カラマとアタカマを結ぶ道路はきれいに舗装されており、峠道でも運転するのはとてもラク。幹線道路だけに、クルマも意外に多い



観光スポットの「月の谷」エリアでなくとも、地球らしからぬ風景が広がっている。まったく緑はない



カラマからアタカマの間の峠は3300mを超す場所もあった。この景色も、空が青くなければどこかの惑星のようだ



ドライブの途中で見つけた、「月の谷」を上から眺められるビューポイント。高さ数百メートルはあろうかという崖の先端に立つ観光客。怖くないのか?

 カラマの空港を出てから1時間ほど走り、そろそろまっすぐな道のドライブにウンザリしてきたころ、ちょっとした峠に差し掛かる。もっとも、カラマが標高2300mくらいあるので、ちょっとしたといっても、この峠の最高地点は3300mを超していた。
 砂漠の真ん中の一本道も、山間に入ると景色は一変。相変わらず草木一本ないが、地層がそのまま見える崖やどこかの惑星かと思うような地形が現れ、運転していて飽きない。速度制限はあるが、砂漠の一本道だと一般道でも制限速度100km/h。峠道はさすがに70とか50に落とされるが。


山根一眞「おおー。この峠、富士山並みの標高だね。でも、空気が薄い感じはしないな」
編集担当S「クルマに乗ってるからじゃないですか?でもこの高さだと、酸素量は平地の65%くらいらしいですけど」
山根「え、65%! なんだか苦しくなってきた」
編S「気のせいです」


 ところでチリは、中南米諸国の中では高い経済成長を維持していることもあり、インフラの整備は周辺国に比べても進んでいるといわれる。確かにカラマからアタカマまでの道は幹線道路ということもありきれいに舗装されている。旅行記などを読んでも、ボリビアなど隣国からチリに入ると道路がぐんと良くなるらしい。
 そういえばチリに来る前、知人から脅された。砂漠をなめちゃいかん、万が一車が故障したら命取り、と。確かにカラマからアタカマ砂漠の中のオアシスの街サンペドロ・デ・アタカマまでの間の約100km、ガソリンスタンドはおろか、家の1軒もない。が、道路は快適で何の不安もなかった。


編S「そういえば、月の谷を見に行った時、日本の学生らしい団体がいましたね」
山根「いたいた。こんなところまで来るんだねえ。最近の若者にしては行動力があってよろしい。がしかし、学校はどうした? 学業をおろそかにしちゃいかん」
編S「あれ? 山根さん、大学の講義はどうしたんですか?」
山根「あ…」

「アルマ望遠鏡」について詳しくお知りになりたい方は、以下のサイトもご覧ください。

>自然科学研究機構 国立天文台「アルマ望遠鏡」

>ALMA天文台(英文)

>現地報告!構想30年のスーパー望遠鏡「アルマ」がついに動き出す(日経ビジネスONLINE)





『スーパー望遠鏡
    「アルマ」の創造者たち』


著者名:山根一眞
体裁:四六判・並製、296頁
価格:1,620円(税込)
ISBN:978-4-86443-042-5
発行日:2017年7月31日
発行元:日経BPコンサルティング
発売元:日経BPマーケティング

【目次】
序章  嵐の神戸港
第1章 電気仕掛けの望遠鏡
第2章 野辺山のサムライたち
第3章 奪われた花嫁
第4章 魔法工場のデスマッチ
第5章 凧揚げとガンダム
第6章 冷たいラジオの作り方
第7章 天空のセレモニー
終章  奇跡の星、地球

■著者プロフィール
山根 一眞(やまね・かずま)

ノンフィクション作家。1947年東京生まれ、獨協大学外国語学部ドイツ語学科卒。宇宙航空研究開発機構(JAXA)客員、福井県文化顧問、理化学研究所相談役、日本生態系協会理事、3.11支援・大指復興アクション代表。日本の「ものつくり」を広く伝えた『メタルカラーの時代』シリーズ(小学館)は25冊を出版。『小惑星探査機はやぶさの大冒険』(マガジンハウス)は渡辺謙主演で映画化。『日経ビジネスONLINE』で2つの連載コラムをもつ。獨協大学特任教授。日本文藝家協会会員。
■主な著書
『理化学研究所』(講談社ブルーバックス) 2017年、『小惑星探査機「はやぶさ2」の大挑戦』(講談社ブルーバックス) 2014年、『メタルカラー烈伝 温暖化クライシス』(小学館) 2006年、『メタルカラー烈伝 鉄』(小学館) 2008年
山根事務所
 http://www.yamane-office.co.jp