アルマ望遠鏡“勝手に”応援団

■ repo 04 標高2900mのベースキャンプ



標高2900mに建設されたアルマ天文台(電波望遠鏡を含む関連施設)の山麓施設(OSF)。アンテナの組み立てや検査・調整はここで行われるほか、5000mに設置されたアンテナを制御し観測するのもここ。いわゆるベースキャンプとなる施設である(写真クリックで拡大)


サンペドロ・デ・アタカマの街からクルマで30分ほど走ると、小さなゲートが見えてくる。ここから先は許可証がないと入れない



ゲートを過ぎてもOSFまでは20分くらいかかる。写真右手、山の中腹に白く見えるのがOSF



OSFにはコントロールルームやメインテナンスルームなど管理系のほか医務室や食堂、当然、関係者の宿泊施設もある



OSFの周りは基本的には荒地だが、よく見ると植物も少なくない。サボテン類や赤い花を付けた植物が色を添える


OSFの食堂でいただいた昼食。メニューは数種類から選べる。サラダバーとスープが付く。ここにもたっぷりのポテト

 アルマ望遠鏡が設置されたのは、チリ北部・アタカマ砂漠のアンデス山脈側、つまりアルゼンチンとの国境に近いチャナントール高原という場所。ここは標高5000mを超える高地のため、生身の人間が長時間滞在することはできない。そのため、実際のアンテナの制御や観測は標高の低い山麓に設けられた管理施設で行う。
 この山麓施設(OSF)は天文台建設の基地でもあり、アンテナの組み立ておよび完成後の試験・調整はここで行われる。敷地の中央には、パラボラアンテナの受信試験・調整のため天体に代わってで電波を発信するアンテナが建っている。
 標高が低いとはいえ、2900mに位置するOSFではアルコールはご法度。宿泊施設もあるので、関係者はここで寝泊まりしながら観測・運用を行うが、寝酒ができないのがツラいというスタッフもいるそうだ。


山根一眞「僕はあまり飲まないからいいけど、アルコール禁止はキツイかもね」
編集担当S「飲酒はもちろん、酔っ払って帰ってくるのもダメなんです」
山根「ほほう。てことは、サンペドロ・デ・アタカマで飲んだら、帰ってこれないんだ?」
編S「そうそう、アルコールが残ってるとOSFに上がれないんで、ゲートのところに休憩室があるらしいですよ」
山根「なるほど。酔っ払ったらそこに泊めてもらえばいいんだね」
編S「……ちょっと違うような気がしますけど」


 アルマ望遠鏡は国際的なプロジェクトのため、OSF内は基本的に英語がいわば公用語。が、施設の管理スタッフには地元住民の採用もあるらしく、スペイン語のやり取りも普通に交わされている。とうぜん、日本人スタッフも少なくないので、日本語もたまに見かける。
 周辺に何もないので、食事もここで。結構大きな食堂がある。メニューは日替わりで数種類あり、なかには“インターナショナルメニュー”として、日本食(風)やイタリアンっぽい料理とかも出るらしい。


山根「なんだか、いつも最後は料理の写真だね。OSFの食堂でしょう? あまりオススメされなかったけど…」
編S「え? そうですか? 滞在中、毎日食べましたけど美味しかったですよ」
山根「キミはそもそも好き嫌いないでしょ?何でも食べるもんね」
編S「いやいや、嫌いなもの、ありますよ。タラとか…」
山根「魚の鱈? 白身だし特別な味しないのに、なぜまた?」
編S「何か、小さいころのトラウマがあるんじゃないですかね。鱈に襲われたとか」
山根「まさか…」

「アルマ望遠鏡」について詳しくお知りになりたい方は、以下のサイトもご覧ください。

>自然科学研究機構 国立天文台「アルマ望遠鏡」

>ALMA天文台(英文)

>現地報告!構想30年のスーパー望遠鏡「アルマ」がついに動き出す(日経ビジネスONLINE)





『スーパー望遠鏡
    「アルマ」の創造者たち』


著者名:山根一眞
体裁:四六判・並製、296頁
価格:1,620円(税込)
ISBN:978-4-86443-042-5
発行日:2017年7月31日
発行元:日経BPコンサルティング
発売元:日経BPマーケティング

【目次】
序章  嵐の神戸港
第1章 電気仕掛けの望遠鏡
第2章 野辺山のサムライたち
第3章 奪われた花嫁
第4章 魔法工場のデスマッチ
第5章 凧揚げとガンダム
第6章 冷たいラジオの作り方
第7章 天空のセレモニー
終章  奇跡の星、地球

■著者プロフィール
山根 一眞(やまね・かずま)

ノンフィクション作家。1947年東京生まれ、獨協大学外国語学部ドイツ語学科卒。宇宙航空研究開発機構(JAXA)客員、福井県文化顧問、理化学研究所相談役、日本生態系協会理事、3.11支援・大指復興アクション代表。日本の「ものつくり」を広く伝えた『メタルカラーの時代』シリーズ(小学館)は25冊を出版。『小惑星探査機はやぶさの大冒険』(マガジンハウス)は渡辺謙主演で映画化。『日経ビジネスONLINE』で2つの連載コラムをもつ。獨協大学特任教授。日本文藝家協会会員。
■主な著書
『理化学研究所』(講談社ブルーバックス) 2017年、『小惑星探査機「はやぶさ2」の大挑戦』(講談社ブルーバックス) 2014年、『メタルカラー烈伝 温暖化クライシス』(小学館) 2006年、『メタルカラー烈伝 鉄』(小学館) 2008年
山根事務所
 http://www.yamane-office.co.jp